「W 3CM」のメーカー発表の仕様は
リム内径 17.0mm
ボア(スロート) 4.4mm
カップ深さ 標準〜やや深め
カップの形状 Uカップ(JK独自のUカップ形状)
となっています。
人気のある「W 2CM(リム内径17.5mm)」よりもリム内径がわずかに小さいサイズで、「2CMの音色はいいけど、もう少し楽に高音を吹きたい」という方にもとても良い選択になると思います。
また少し小さめのマウスピースが好きな方や、唇が薄めの方、小柄な方や女性奏者、中高生のホルン奏者さんにもしっくりくる方は多いと思いますので、ぜひ試していただきたいです。
良い音色が得られて、さらに高音域も比較的出しやすくなるマウスピースです。
型番の最初の文字「W」は、waldhorn(フレンチホルン)用のマウスピースということを意味していて、他に製作しているウィンナホルン用のマウスピースと区別するための頭文字になっています。
ウィンナホルン用のマウスピースは「WH」という文字が最初につきます。
型番の「3」の部分は、リムの内径サイズを表しています。
JKでは、リムサイズを大きい方から順に
01(18.5mm)、1(18.0mm)、12(17.75mm)、2(17.5mm)、23(17.25mm)、3(17.0mm)、4(16.5mm)
という、7種類のリムサイズが設定されています。
「3」のリムはやや小さめのサイズになります。
型番の「C」の部分はカップの深さを表していて、JKでは深い→浅いの順に、A〜Fの6段階の設定があります。
Cカップは深い方から3番目、浅い方から4番目ということになります。標準的か、やや深めというカップになります。
「M」はカップの形状で、Uカップということを表しています。
単純なUカップではなく、音色に加え吹奏時の抵抗感や音程など、非常に吟味されたデザインをJK社がしていて、非常に高く評価されているカップデザインです。
伝統的なホルンらしい、ヨーロッパ風で柔らかくも輝かしい音色が特徴です。
JKのマウスピースは、他にVカップ形状の「K」というカップの仕様もあって、そちらは少しダークな音色が特徴となっています。
高音域に限っては、VカップよりもUカップのマウスピースの方が比較的演奏しやすいと言われています。
このマウスピースはやや深めのカップとUカップ形状の絶妙なバランスで、良い音色と高音域の出しやすさをうまく両立しています。
カップ内には敢えて旋盤の加工跡をヘアライン状にうっすらと残してあって、カップの中で息の流れや響きが微妙に複雑な乱反射をすることで良い音色を生み出すという話も聞きます。
JKのホルンのマウスピースは2010年頃にマイナーチェンジとも言える仕様の変更があったようで、バックボア部分の形状と型番によってはリムの厚みが変更されました。
それ以降、型番の最後に「A1」の刻印が追加されたものが標準的なモデルになっています。
このマウスピースは型番の最後に「A1」の刻印が入っていない、旧タイプのレアなマウスピースです。
現在でも特注で旧タイプのバックボアのものを製作しているようで、シュテファン・ドール氏と同じ旧タイプのバックボアのモデルは今でも人気があります。
やや深いカップのマウスピースはバックボアが広すぎると吹いている時の抵抗感が少なすぎて、すぐにバテたり高音域が出しにくくなりがちなので、A1の広めのバックボアよりも旧タイプのバックボアの方がちょうど良いと思う方も多いようです。
シャンクについてのメーカーからの正確なアナウンスはないようですが、ヨーロピアンシャンクとアメリカンシャンクの中間的なシャンクになっているようで、実際どちらのシャンクの楽器にも装着できます。これとは別に特注で、アレキサンダーの楽器専用に合わせた「AS」というシャンク仕様のものも発売されています。
アレキサンダー、パックスマン、ヤマハ、ハンスホイヤー、コーン、ホルトン、ヴェンツェルマインル、その他にもほとんどのメーカーのホルンに装着可能な点も、人気の理由の一つだと思います。
「A1」が型番に付くようになった頃からシャンクが少し太めの個体が多くなったようですので、楽器に浅くしか入らないマウスピースに不満がある方にも、この「W 3CM」は良い選択になると思います。
吹いてみるととても反応が良く、全ての音域で豊かでクリアな魅力的なサウンドが得られます。
リムの唇への感触も良く、長いフレーズでも安心して演奏できます。
音量も得やすく、高音域を多用される曲や長時間の演奏での耐久力にも優れたマウスピースです。
音色が薄っぺらかったり、スタミナに自信のない方にも、試していただく価値のあるマウスピースです。
ソロ、アンサンブルから、大編成のオーケストラや吹奏楽まで、幅広く多様性のある優れたマウスピースだと思います。
全体に非常に良い状態を保っています。ところどころわずかな小キズが見受けられますが、ほとんど気にならないと思います。
全体の銀メッキの状態も非常に良好で、美しく光り輝いています。
リム、カップからスロート、バックボア、シャンク先端の仕上げにいたるまで、とても丁寧に製作されています。
マウスピースの表面とカップ内からバックボア、シャンク先端まで、綺麗に洗浄して適度に磨いてありますので、汚れなどの心配のまったくない清潔な状態にしてあります。
JKの最近製作されたマウスピースは、刻印にアルファベットの小文字が入ったものに変更されたようで、少し安っぽく見えます。こちらのマウスピースはボディを美しく一周する大文字の刻印で、字体も含めて素晴らしいデザインだと思います。